眼精疲労
眼精疲労とは
「眼精疲労」とは、眼を使う仕事をすると、普通では疲れない程度でも、眼の疲れ、痛み、かすみ、羞明(まぶしさ)、充血、流涙、頭痛、肩こり、吐き気などを発症し、休息や睡眠をとっても十分に回復出来ない眼の病的疲労のことです。眼を休めば治る生理的疲労は、眼疲労といいます。眼精疲労は蓄積疲労が元にあるのではないかと考えられています。
眼精疲労原因
原因は、眼科的要因、環境要因、全身的要因があげられ、そのうち最も多いと考えられるのは、眼科的要因です。
1. 眼科的要因
眼科的要因には、調節性眼精疲労、不等像性眼精疲労、症状性眼精疲労、筋性眼精疲労があります。
この中で最も多いのは、調節を過度に行うことによって起こる調節性眼精疲労です。長時間の近方視は、毛様体筋の過緊張から、眼精疲労を引き起こします。
- 特に遠視、乱視の場合や眼鏡が合っていない場合、物をはっきり見るために、常に毛様体筋が収縮、緊張しているため、眼が疲れ易い状態にあります。
- 乱視の人は、乱視軸の変化が起こりやすい初老期に眼精疲労が著しい傾向にあります。
- 小児期の遠視は、近方視で眼が疲れやすいため、読書に飽きやすい傾向があります。
- 他の調節性眼精疲労として、老視、調節麻痺、調節衰弱、調節痙攣によるものがあげられます。
他の眼科的要因として斜視、眼筋麻痺などによる筋性眼精疲労、ドライアイ、角膜炎、結膜炎、緑内障、白内障など眼の病気による症候性眼精疲労、不同視(屈折の左右差)などにより、左右の眼に感じる同一物体の像の大きさや形が異なるため疲れる不等像性眼精疲労があげられます。
2. 環境要因
環境要因としては作業環境、光刺激(VDT症候群visual display terminals、紫外線など)、音刺激、ガス、有機剤などによる化学的刺激、シックビル症候群、家庭や通勤、職場におけるストレスなどがあげられます。
3. 全身的要因
全身的要因としては内科疾患、脳、神経疾患、耳鼻科疾患、整形外科疾患などの身体面の異常、精神的疲労や精神疾患など精神面の異常があげられます。
このように、眼精疲労は様々な原因があり、また単一な要因から発症する場合と複数の要因が累積し発症する場合もあります。例えばVDT症候群は眼科的要因、全身的要因、環境的要因のアンバランスと悪循環によって生じる疾患です。
眼精疲労の治療法
治療法は原因を究明し、原因となる疾患に対し治療を行います。
- 時に全身疾患が潜んでいる場合もあり、内科、脳神経外科、耳鼻科、整形外科など他科での精密検査が必要なこともあります。
- 眼の病気が発見されれば治療します。眼鏡の度数が合っていない場合は正しい度数のレンズの眼鏡に作り直します。
- 長時間の近方視、例えばスマホやゲーム機の長時間の使用や就寝前の使用は避けます。
- パソコン作業は、1時間に10分程度の適度な休息を取りながら行うようにします。コンタクトレンズのつけすぎは、ドライアイを起こしやすいので、1日12時間以上の装用は控えましょう。
眼精疲労の症状自体の特効薬はありません。眼精疲労用のビタミン剤配合の点眼薬はありますが、原因を取り除かなければ、完治は困難です。ドライアイによる眼精疲労には、眼の乾燥を防ぐ点眼薬や、涙液の成分の分泌を促す点眼薬が有効です。
眼精疲労は、複数の要因が累積し発症した場合や、眼精疲労は真の原因を特定することが困難な場合、治療、対策が困難なことがあります。複数の要因が累積し発症した場合、いずれかを改善させることから全体のバランスを良くすることが必要です。
文責:青葉台駅前眼科